玉成舎とは イメージ
玉成舎とは 有機の里として知られる埼玉県小川町にある、人と文化の交遊拠点・玉成舎。食事や買い物を楽しめるまちに根づいたお店が集まり、地域や世代を超えた人々が集い、出会い、遊べる場としてまちにあたらしい風景をつくっています。

- 玉成舎のあゆみ -

●はじまりは養蚕技術伝習所
1888年(明治21年)のこと、現在地から西に約1キロの増尾地区に、私設の養蚕技術伝習所「玉成舎」は建てられました。当時国策事業であった生糸や繭の品質を高める研究を行い教える施設でしたが、集会所としても使用され、板垣退助が演説に訪れたという記録も残っています。生糸や繭、大正に入ってから確立された染色技術は、小川町に大きな繁栄をもたらしました。その産業を大きく支えていたのが玉成舎なのです。
⃝染工場として産業を支える
当時の建物は現在のものよりも少し大きく、その一部を医院や劇場などにも貸していたそうです。1931年(昭和6年)に現在の場所に移築され、「緋染松本工場」として緋染や紅染、白張加工を営んでいました。1980年(昭和55年)に事業を終えてからは民家として使用されていました。
●まちの人が力をあわせたプロジェクト
時は流れて2016年(平成28年)、老朽化した玉成舎は取り壊しの危機を迎えました。しかし、堂々たる構えの建物はまちのランドマークであり、地域の歴史を語る上で重要な遺産です。家主さんの英断により建物を残すことになり、小川町で店を営んでいた有機野菜食堂わらしべを中心に、NPO、設計事務所、工務店、商工会、クリエイターらが協力して、再生プロジェクトがはじまりました。
○人と文化の交遊拠点へ
土壁づくり、漆喰塗り、地元で漉いた和紙での障子張など、のべ200人以上の人たちが参加した伝統構法ワークショップの末、小川町の歴史的な建物は人と文化の交遊拠点として生まれ変わりました。2019年(令和元年)には埼玉県の空き店舗ゼロリノベーションコンペで最優秀賞を受賞するなど、町内外から注目いただきながら日々新しい風景を生み出しています。

プロジェクトメンバー

オーナー:山下義彦・由美子(わらしべ)/ 設計・ワークショップ:相子芳也(AIKO環境設計)/ 施工:杉田工務店 / コーディネート:平山友子(NPOまちぶん)/ 事業計画:笠原亮彦(小川町商工会)/ 歴史資料提供:内田康男 / ディレクション・コピーライティング:柳瀨武彦(PEOPLE)/ ロゴデザイン:立石拓(タタ)/ WEBデザイン:中倉生乃 / 撮影:原田要介 / プロスケット:高木孝太郎 / たくさんのワークショップ参加者のみなさん